こんにちは、
よーちゃんです。
2023年7月14日に公開された「マッド・ハイジ」。
世界中のファンからのクラウドファンディングで資金を調達。
”教えておじいさん復讐の仕方を!”がキャッチフレーズだとか。
なんか強烈らしいので調べてみました。
マッド・ハイジ(Mad Heidi)
2022年公開のスイスのアクションアドベンチャー映画。
2022年9月7日にブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で初上映され、観客賞を受賞しています。
チューリッヒ映画祭(英語版)2022では特別招待作品として上映されてもいます。
ドイツとオーストリア、スイスでは2022年11月24日に劇場公開され、同年12月8日にはウェブサイトで配信が開始されました。
古典的な児童文学『アルプスの少女ハイジ』を暴力的でゴア描写満載なの作品へと再構築。
ホラーあり、コメディありという内容のスイス初のエクスプロイテーション映画です。
ジャンルはハイマートフィルムというパロディ作品だそうです。
ハイジの実写映画作品としては2015年公開の『ハイジ アルプスの物語』以来の作品です。
監督は、ヨハネス・ハートマンさんとサンドロ・クロプフシュタインの2人。
ハイジ・・・アリス・ルーシーさん。
アルペヒ・・・デヴィッド・スコフィールドさん。
マイリ大統領・・・キャスパー・ヴァン・ディーンさん。
日本語吹き替え版には内田真礼さん、久保ユリカさんら人気声優がたんとうしています。
チーズとチョコレートを食べることを強制するファシスト政権に支配されたディストピアのスイスを舞台に、恋人のペーターと家族を殺害した独裁者のマイリを血祭りに上げ、母国解放のために奮闘するハイジを中心とした物語。
スイスの文化や歴史、民俗学、そして、70年代と80年代のエクスプロイテーション映画からインスピレーションを得ているます。
アルプスの少女ハイジ(Heidi)原作
スイスの作家ヨハンナ・シュピリ(またはスピリ)の児童文学作品です。
1880年から1881年にかけて執筆されました。
原題は『Heidis Lehr- und Wanderjahre』(ハイジの修行時代と遍歴時代、1880年出版)。
フランクフルトからデルフリ村に戻ったハイジが祖父と再会します。
ハイジの説得で祖父が永年拒んできた日曜礼拝に参加するまでを描いています。
および『Heidi kann brauchen, was es gelernt hat』(ハイジは習ったことを使うことができる、1881年出版)です。
原作には、日本のアニメとは違ってキリスト教信仰に基づく描写が多く見られます。
ドイツの文豪ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』および続編の『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』からその着想を採られていて、教養小説(成長小説)とも言えそうです。
ドイツ語圏スイスのデルフリ村(マイエンフェルト付近の架空の村。イェニンス村がモデル)が舞台となっています。
物語の途中にはゲーテの生地でもあるフランクフルトに舞台が移ります。
原作とアニメ”アルプスの少女ハイジ”の相違点は?
監督の高畑勲さんが、ペーターの扱いを大きく変更しています。
原作では意志薄弱でハイジに従属しています。
また、こんなエピソードも変更されています。
ペーターにとって山で唯一の友人であるハイジが、クララの滞在中はペーターと山の牧場に行く時間がなくなったために、「クララはハイジを自分から奪った」と考えたペーターが、クララをフランクフルトに帰すことを企んで車椅子を壊しているのです。
原作では「信仰の大切さ」が最大のテーマとなっています。
クララのおばあさまは、ハイジに聖書を読むことや毎日のお祈りを推奨するなどしています。
ハイジもその影響で熱心なキリスト教徒になり、おんじに「神の元」に回帰することを勧めていて、おんじも遂に涙を流して神に対して過去を悔い改め、村人とも和解します。
おんじの多くの不幸は神と対立したことが原因と原作では書かれています。
また、フランクフルトでハイジがいくら神に「山に帰りたい」という願いをしても、それが叶えられないことを理由にお祈りを辞めてしまいます。
しかし、クララのおばあさまが「ハイジを今すぐ山に帰すよりも、しばらくフランクフルトに滞在させたあとで山に帰すほうが、ハイジにとってずっと良い」と考え、信仰の継続を約束させます。
ほかに、ヨーゼフは原作に出てきません。
また、セバスチャンが執事で、ロッテンマイヤーはその下の家政婦長というのもビックリです。
こんなハイジもありました。
日本語訳版”ハイジ”『楓物語』
山本憲美 訳。英語版からの重訳。
福音書館 1925年。
明治・大正期に他の作品でも見られた、人名を日本風にした作品です。
当時の日本では、少年少女は現代人よりも外国人名に慣れていませんでした。
物語の内容は変えずに登場人物名だけをすべて日本風に変えているのが特徴です。
登場人物
ハイジ・・・楓(かえで)
ペーター・・・辨太(べんた
アルムおじいさん(おんじ)・・・爺(おやぢ)
デーテおばさん・・・伊達(だて)さん
クララ・・・久良子(くらこ)
ロッテンマイヤー・・・古井(ふるゐ)さん
ゼーゼマン・・・本間(ほんま)
ちなみにクララのフルネームは「本間久良子」となりますね。
なお、地名等は原作通りとなっているようです。
この作品は時代背景を考慮していて、完全に日本の物語にしてしまう翻案とは少し違っているようです。
ヨハンナ・シュピリさん自身は、「アルプスの少女ハイジ」の続編は執筆していませんが、他の作者による続編があります。
「ハイジ」の続編
シャルル・トリッテン『それからのハイジ』
各務三郎 訳 ブッキング 2003年8月。
ハイジは、クララの勧めによってローザンヌの寄宿学校へ入学します。
卒業したハイジはアルプスに戻り学校の教師となります。
という物語です。
シャルル・トリッテン『ハイジのこどもたち』
各務三郎 訳 ブッキング 2003年8月。
『それからのハイジ』の続編。ハイジとペーターは結婚してアルムの村で暮らしていました。
ローザンヌの寄宿学校時代の親友の妹マルタは、祖母を亡くしたおりに心を閉ざしていました。
ハイジはマルタを引き取って育て、マルタも次第に心を開いていく。
という物語です。
フレッド・ブローガー&マーク・ブローガー『ハイジの青春 アルプスを越えて』
堀内静子 訳 早川書房 1990年8月。
「チャーリー・シーンのアルプスを越えて」で映画化されています。
14歳になったハイジは、アルプスを離れ、イタリアの寄宿学校へ行きます。
しかし、戦争が始まり寄宿学校は軍に接収。
ハイジたちは工場で酷使されます。
ハイジたちは脱走し、アルプスへと向かいます。
という物語です。
石川淳「アルプスの少女」
『おとしばなし集』所収 集英社 1952年11月。
『戦後短篇小説再発見〈10〉表現の冒険』(講談社文芸文庫 2002年3月)に再録。
戦争が起こり、ペーターは兵士となります。
平和が戻って、ペーターとクララは再会しアルムに向かいます。
という物語です。
アニメや実写はもとより舞台にもなっています。
アニメ
- 1967年:『アルプスの少女ハイジ』(TCJ)
- 1974年:『アルプスの少女ハイジ』(ズイヨー映像)
- 2015年:『Heidi』(フランス、オーストリア、ドイツ、ベルギー、Studio 100)
上記の作品を下敷きにした3Dアニメ版。 - 1987年:『Heidi’s Song』(アメリカ、ハンナ・バーベラ・プロダクション)、劇場用作品
- 1988年:『ビデオ絵本 アルプスの少女ハイジ』(ウォーカーズカンパニー)、ビデオ作品、虫プロダクション制作
- 1989年:『ポンキッキめいさくわーるど アルプスの少女ハイジ』(スタジオジュニオ)
『ひらけ!ポンキッキ』のコーナー内テレビアニメ作品、1989年4月3日放送 - 1993年:『サンリオ世界名作映画館 ハローキティのアルプスの少女ハイジ』(サンリオ)
ビデオ作品、1994年に『ハローキティのアルプスの少女ハイジ クララとの出会い』が発売 - 1995年:『ハイジ』(日本ビデオ販売)、ビデオ作品
- 2017年:「HUNGRY DAYS『アルプスの少女ハイジ』篇」(タツノコプロ)
実写
- 1937年:『ハイデイ』 アメリカ映画(88分)
- 1952年:スイス映画(100分)
- 1955年:Heidi und Peter(1952年の続編)
- 1965年:ドイツ/オーストリア映画(110分)
- 1968年:アメリカ・テレビドラマ(105分)
- 1974年:イギリス・BBC制作テレビドラマ
日本では、1976年2月にNHKで少年ドラマシリーズとして放送されています。
後にハウスこども劇場(テレビ朝日系列)でも放送されました。 - 1978年:『アルプスの少女ハイジ 新しい冒険 The New Adventures of Heidi』
スイス・ドイツ・オーストラリア制作テレビドラマ - 1993年:アメリカ・ハーモニーゴールド社制作テレビドラマ(193分)
ゴールデングローブ賞ノミネートされています。
日本では1996年1月1日から3日にかけてNHK教育テレビで3回に分けて放送されました。 - 2001年:スイス映画
舞台を現代に置き換えた作品です。 - 2005年:『ハイジ』 イギリス映画(104分)
- 2015年:『ハイジ アルプスの物語』 スイス・ドイツ共同制作映画(111分)
日本では2017年8月26日より公開されています。
舞台
1940年7月26日~8月25日、宝塚大劇場にて宝塚少女歌劇団(雪組公演)による世界名作童話 オペレッタ「アルプスの山の娘」として舞台公演されています。
まとめ
アニメをはじめ実写に舞台。
はたまたパロディに続編まで。
時代を超え、世界中で愛されている作品”ハイジ”。
私は一度原作を読んだことがあります。
あまりにもアニメの印象が強烈なので、ピンときませんでした。
いろんな本が出ているようなので、読んでみるのもいいですね。
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